news解説|民家の家に洗濯機を持ち込み、 1 円分の電気を盗んだ容疑で男性が逮捕

【ニュース】
無人の民家の敷地内に洗濯機を持ち込み、約1円分の電気を使ったとして、高知県佐川署は27日、同県仁淀川(によどがわ)町の農林業の男(55)を窃盗などの疑いで逮捕しました。
逮捕容疑は、10月4日から同23日までの間、高松市の男性(63)が管理する仁淀川町の家の敷地内に侵入し、洗濯機を搬入して、軒先のコンセントに電気コードを接続した上、23日午前9時ごろに洗濯機を稼働させて電気代約1円分を窃取したというものです。
佐川署によると、男は自分の衣服などを洗濯していたらしく、男性は容疑を認めているそうです。
周辺の民家でも同様のトラブルが発生しており、同署では関連を調べています。毎日新聞 11月27日(日)18時57分配信

電気を盗んでも罰せられるの?1円分を盗んだだけでも刑事裁判にかけられるの?
今日は、窃盗罪に関する素朴な疑問にお答えします。

■ Q1. 窃盗罪というと、スーパーでの万引きや、自転車泥棒が思い浮かびますが、そもそも電気なんて目に見えない物を盗んで罰せられるんですか?

A. 窃盗罪は、「他人の財物」を窃取した場合に成立します。刑法245条は、「この章については、電気は、財物とみなす。」と規定しているため、窃盗罪との関係では電気は「財物」として扱われ、他人の電気を盗んだ場合には窃盗罪が成立することになります。なお、権利の関係等について規定する「民法」という法律では、「物」とは有体物、形のある物をいうと定義されており、電気は「物」に含まれないと解釈されています。


■ Q2. カフェのコンセントで勝手に携帯に充電した場合でも、今回の事件のように逮捕されてしまうんですか?

A. 逮捕の有無は、事件の内容によって異なります。カフェのコンセントに勝手に携帯電話の充電器を差し込んで充電する行為も、管理者の意思に反する充電として、窃盗罪の構成要件に該当する可能性があります。もっとも、管理者の同意を得ていれば窃盗罪は成立せず、今回の事件のように逮捕されることはありません。また、管理者の同意を得ていなかったとしても、緊急な用事のため、携帯電話を使用する必要性が認められ、1回限りの充電だった場合には、刑罰をもって抑止すべき行為とまでは言えず、今回の事件のように逮捕されることは考え難いです。
ただ、電気が店のものであることに変わりはありません。携帯電話を充電をする際は、店長に一言申し入れてからする方が、トラブルに発展せずに安全です。


■ Q3. 今回のように、1円の電気窃盗でも、刑事裁判にかけられる可能性はあるんですか?通常はどういう処罰をうけるのか教えてください。

A. 逮捕の原因になった事実に間違いがない場合は、今後、大きく、刑事裁判で懲役刑を受ける、略式手続きで罰金刑を受ける、起訴猶予処分になる、という3つのパターンが考えられます。新聞記事には1円の電気窃盗とありますが、電気使用量を証明する上で少なくとも1円の経済的価値があることは明らかな証拠がある(実際にはもう少し金額がかさんでいるものの、証明できない)ので、そのような被害額になったのかもしれません。
今回の事件では、被害額は少なくとも、勝手に他人の敷地に忍び込んで洗濯機を設置して電気を使用したのですから、窃盗罪のほかに建造物侵入又は邸宅侵入罪が成立する可能性があります。
しかも、繰り返しこうした行為が行われていたとすれば、近隣住民に与える不安感は大きいものがあり、実際に被害に遭われた住民の憤りも察しがつきます。
容疑者が初犯で、罪を認めて、示談が成立すれば、起訴猶予処分になることも十分に考えられますが、容疑を認めずに事実関係を争えば、真相解明の必要性から、刑事裁判になる可能性があります。

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