小樽資産家女性殺人事件 → 逮捕された女性社長が、処分保留で釈放 《解説コメント》(その2)

(前回つづき)

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■ Q4. 広岡社長は、このまま起訴されないんですか?それとも、将来的に起訴される可能性はあるんですか?

A. 起訴されるか、されないかは、今後、捜査機関によって収集される証拠次第です。

現時点では、有罪を立証するだけの十分な証拠は収集されていないようですが、今後、広岡社長が犯人であるとする決定的な証拠が収集される可能性がないとは言えません。
広岡社長が今回の殺人事件の犯人であるということを証明する証拠が、今後の捜査で発見された場合には、殺人事件という罪の重大性を考えても、起訴猶予処分で不起訴とするということは考えられにくいので、将来的に起訴されることになります。

他方で、このまま有罪を立証するだけの証拠が集まらない場合は、検察官は広岡社長を起訴することはないと思われます。
日本の刑事訴訟法は、起訴するか否かの決定を検察官の専権として規定しており、検察官は事件が証拠上100パーセント有罪であると確信できない限り、起訴しないというというのが、実務の建前であり、運用だからです。


■ Q5. 冤罪(えん罪)での誤認逮捕だった場合、国家に損害賠償できる可能性はあるんですか?

A. 最終的に検察官が不起訴処分とした場合で、そもそも被疑者の行為が罪とならない場合や、嫌疑が全くなかった場合には国家賠償を請求をすることができます。
しかし、有力な物証があるのに、単に黙秘をしているため、事案の真相が判明せず、灰色の状態での不起訴処分、いわゆる嫌疑不十分の場合には、国家賠償を請求することはで きません。

※ 通常、裁判員裁判対象事件で被疑者が否認している場合、警察は必ず担当検事に逮捕前の事前相談をします。
そこで、検事がその時点での証拠の説明を聞いて、逮捕のゴーサインを出します。
一般的には、捜査本部である捜査一課を指示してゴーサインを出した以上、強制捜査のゴーサイン=起訴をする確約とみなされて います。
このような重大事件で起訴に至らなかったことは、事前相談の際の警察の証拠説明が不十分であったか、または検察官の見込み違いがあったことが考えられます。

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