news解説|盗撮の摘発増加 携帯電話やハイテク機器で動画撮影も

【ニュース】
携帯電話などを使った盗撮の摘発が増え続け、昨年の全国の摘発件数は5年前の約1.6倍に増えています(警察庁まとめ)。
警察庁によると、駅や電車内などでの「下着などの盗撮」と、「公衆浴場や公衆便所などでの盗撮」を合わせた摘発件数は2006年に1087件だったのが、2010年には1741件に増え、このうち「下着などの盗撮」が1702件と約98%を占めていることから、大半がスカートの下からひそかに撮影するケースとみられています。
携帯電話の動画機能の向上やカメラの小型化などで盗撮手法が巧妙化しているほか、インターネットの盗撮サイトの存在も背景にあるとみられています。(11月7日14時38分 読売オンライン配信)

盗撮って何罪にあたるの?
友人が、携帯を操作していただけで盗撮犯人と間違われたのだが、どう対応したらよいの?
今日は、盗撮事件に関する素朴な疑問にお答えします。


■ Q1. 盗撮事件を起こしてしまった場合、何罪で処罰されることになるんですか?

A. 盗撮は、盗撮を行った場所によって処罰される罪名が異なってきます。
まず、不特定多数の人が、自由に出入りして利用する場所である、デパート、飲食店、駅などの建物や、電車、バスなどの公共の乗物で盗撮を行えば、一般的に「卑わいな言動」として、各都道府県で定めている迷惑行為防止条例違反により処罰されます。
これに対し、公衆浴場や公衆便所、女子更衣室など、不特定多数の人が誰でも自由に出入りできるとは言えない場所で盗撮を行う場合は、通常、これらの場所を管理する権限を持っている管理者が、盗撮目的の侵入行為を許すとは考えられません。
そこで、この管理者の意思に反して公衆浴場等に侵入したとして、建造物侵入罪とともに、ひそかにのぞき見したとして軽犯罪法により処罰される可能性があります。


■ Q2. 電車内で携帯を操作していたら、盗撮犯人と間違われたケースもあると聞きます。そのような盗撮の冤罪トラブルに巻き込まれたら、どう対応したらいいんですか?

A. 電車内で携帯を操作していて盗撮犯人だと間違われた場合、その場で、盗撮の疑いをかけてきた人に毅然とした態度で、何をもって盗撮行為なのかを確認することが大切です。
具体的には、携帯電話の画像を、その場で確認させて盗撮事実がなかったことを明らかにするなどして、早期に誤解を解くことが大切です。
立ち去る場合も、名刺を渡して身分を明らかにするなど、疑いを晴らすように、毅然とした態度をとることが重要です。
もし黙ってその場を立ち去るようなことがあれば、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあるとして、現行犯逮捕される危険性があります。
もし、誤解を解くことができずに逮捕されてしまった場合であっても、諦めてはいけません。
弁護士を通じて無実を訴え、検察官から不起訴処分を獲得することができれば、逮捕されている留置場から即座に釈放されますし、容疑をかけられても前科が付くことはありません。


■ Q3. 盗撮した画像を、盗撮サイトにアップした場合、何か罪に問われるんですか?

A. 盗撮した画像が、全裸または性器を撮影した画像であれば、それをネット上に掲示することにより、わいせつ物公然陳列罪に該当する可能性があります。
下着などの盗撮では、刑法で定められた「わいせつ」とまでは言えないことが多いので、わいせつ物公然陳列罪は成立しない場合が多いと考えられます。
しかし、顔や身体的特徴などにより被撮影者が特定される場合には、その被撮影者に対する名誉棄損罪が成立する可能性もあります。
なお、名誉棄損罪は親告罪といって、起訴され、刑事裁判になるには、被害者である被撮影者の告訴が必要な犯罪です。


■ Q4. 盗撮事件は増加しているそうですが、痴漢など他の性犯罪も増加しているんですか?

A. 現在の盗聴機器の販売台数は、年間40万台を超え、その市場規模は10億円から15億円にのぼるといわれています。そして、盗撮用機器に関しては、具体的な統計は出されていないものの、盗聴の市場を上回ると一般的に評価されています。
一方、痴漢についてみると、平成21年に全国で発生した迷惑行為防止条例違反の痴漢事件の検挙件数は3,880件でした。これは過去5年間で最少となっており、最も検挙件数の多かった平成17年の4,719件に比して839件減少しています。
また、強制わいせつ事件の検挙件数は3,563件(認知件数6,688件)でした。各都道府県別のデータをみると、昨年に比してやや増加している地域が多いようです。なお、電車内における強制わいせつの痴漢行為の認知件数は340件と過去5年間で最少となり、最も多かった平成17年の497件に比して157件減少しました。