自動車運転過失傷害:居酒屋に車 1人死亡、2人重体 飲酒の容疑者逮捕−−横浜 アトム東京法律事務所

毎日新聞 2010年1月30日 東京朝刊

29日午後5時50分ごろ、横浜市緑区鴨居5の居酒屋「梧(あおぎり)」に軽乗用車が突っ込み、同区白山1の会社員、野表(のおもて)茂男さん(55)ら男性客3人がはねられた。
野表さんは頭を強く打ち、搬送先の病院で死亡、ほかの2人は腹部を打って重体。
神奈川県警緑署は、車を運転していた同県大和市つきみ野2、自称コンサルタント業、小坂泰男容疑者(44)を自動車運転過失傷害の疑いで現行犯逮捕した。
 同署によると、野表さんは同僚3人と訪れ、うち横浜市港北区新羽町、佐古篤さん(17)と川崎市幸区幸町4、菅井茂さん(57)が重体。
車は県道をはさんで向かいの駐車場を出て居酒屋に突っ込んだという。
小坂容疑者の呼気1リットル中0・7ミリグラムのアルコールが検出され、同署は自動車運転過失致死傷容疑などに切り替えて調べる。
(引用元:http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100130ddm041040107000c.html)


 自動車運転過失致死傷は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処せられます。

 酒を飲んでいた点で酒気帯び運転又は酒酔い運転という道路交通法上の刑罰を受ける可能性があります。危険運転致傷罪が成立すれば、道路交通法の罪は成立しません。

 小坂容疑者は、軽自動車を運転して居酒屋店舗に突っ込んでいるので、過失による建造物損壊罪が成立し、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられることもあります。

 建造物損壊罪は、刑法260条で規定し、5年以下の懲役に処するとありますが、自動車運転中の過失による建造物損壊は、道路交通法116条に規定されています。

 実務では車両には損害保険が加入されているので、被害者の損害が確実に填補されることや自動車を運転して建物を壊すときには何らかの犯罪行為を伴うことが多く、その犯罪行為で処罰すれば刑事政策の目的は達成できることから過失による建造物損壊で処罰されることはあまりないようです。

 刑法54条1項は、「1個の行為が2個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、そのもっとも重い刑により処断する。」と規定しているので、この事件では自動車運転過失傷害、自動車運転過失致死、酒気帯び運転又は酒酔い運転が成立し、これらの罪のうち自動車運転過失致死がもっとも重いので、自動車運転過失致死の7年以下の懲役で処罰されることになります。
 もちろん、捜査の結果、危険運転致死傷罪が成立すれば、この罪で処罰されます。

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