覚せい剤と刑事弁護活動 その2―所持品検査と予試験― アトム東京法律事務所

所持品検査(しょじひんけんさ)とは、
警察官が警察官職務執行法2条に基づく職務質問を行う際に、それと合わせて相手の
所持品を確認する行為をいいます。

警察官職務執行法には直接所持品検査を認める規定はありませんが、
判例は「所持品の検査は、口頭による質問と密接に関連し、かつ、職務質問の効果を
あげるうえで必要性、有効性の認められる行為であるから、
同条項(警職法2条)による職務質問に付随してこれを行うことができる場合がある
と解するのが、相当である」
最判昭53年6月20日刑集32巻4号670頁)
として所持品検査を認めています。

薬物らしきものが見つかると、その内容の簡易検査が行われます。
これを予試験といいます。

例えば覚せい剤事犯の場合、
所持もしくは使用している薬物が覚せい剤その他の禁止薬物であることが前提条件に
なっていますので、
捜査にあたっては対象薬物が覚せい剤等であることを立証しなければならず、
最終的には化学的な鑑定を経て確認が行われます。

しかし捜査の途中で、もしくは職務質問や任意同行中に発見された薬物等についてす
べて正式鑑定にまわすことは事実上困難であることから、
実際にはその場で試薬を用いて簡易な検査を行います。

現在覚せい剤事犯の捜査に活用されている予試験としてはシモン試薬試験、Xチェッ
カー試験(シモン試薬のセット)、マルキス試薬試験の3種類があります。

試験は、当人の承諾を得ておこなわれ、当人の目の前で試薬で色が変わる様子を確認
させるようにして行われます。

例えば代表的な試薬であるシモン試薬の場合、
わが国で濫用の多いフェニルメチルアミノプロパンに反応するようになっており、
陽性の場合には青藍色(せいらんしょく)の呈色反応(ていしょくはんのう)を示し
ます。

マルキス試薬の場合、
含窒素化合物(がんちっそかごうぶつ)があると赤橙色(あかだいだいいろ)の反応
を示します。

簡易試験をして、薬物を所持していたことがわかると、逮捕手続がとられることにな
りますが、
前述のように現場での試験を行わない場合には、原則としてその場で逮捕はせず、
正式な鑑定の結果によって、逮捕状を請求して逮捕するという手続がとられます。

                                                                                                                • +

PCサイト刑事弁護 専門 私選弁護士 アトム東京法律事務所
携帯サイト刑事弁護 専門 私選弁護士 アトム東京法律事務所
東京都千代田区永田町2-17-4 3階 お問い合わせ(0120)631-276

                                                                                                                • +