全国初のサッカーくじ偽造事件 夫が手をそめたワケは… アトム東京弁護士

1月23日8時26分配信 産経新聞
サッカーくじ「BIG(ビッグ)」の偽造当せん券で現金約4億5千万円をだまし取ろうとしたとして、京都市下京区の夫婦が詐欺未遂と偽造有価証券行使の疑いで昨年12月に大阪府警に逮捕された。2人は大阪市北区の金融機関に偽造当せん券を持ち込み、換金しようとしたが、あえなく失敗。夫は偽造について言及したが、妻は「偽造とは思っていなかった」と容疑を否認したとされる。夫は偽造有価証券行使、有価証券偽造の罪で起訴されたが、妻は起訴猶予処分となった。「あまりにも稚拙」。捜査関係者が首をひねる全国初のサッカーくじの偽造事件に、夫はなぜ手を染めたのだろうか?。

「まさか、偽造当せん券が持ち込まれるとは」。センターの担当者は驚きを隠せない。ただし、くじには偽造防止策が施されており、50万円以上の当せんの場合は、金融機関の照合機で確認した上で、センターでも機械や目視による真がん鑑定を実施。厳重なチェックで偽造当せん券による換金を未然に防止している。
(引用元:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100123-00000504-san-soci


有価証券偽造、同行使、詐欺未遂罪は、3月以上10年以下の懲役に処せられます。
刑法は、犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽できると定め、犯罪の実行に着手したか否かが未遂犯の決め手になります。
当せん金額を手に入れようとして偽造当せん券を作り、これを金融機関に提出しているので、偽造の罪は既遂ですが、当せん金を手に入れていないので詐欺は未遂です。

くじには偽造防止策が施されていて、照合機で真がん鑑定を実施しているので、もともとこの夫婦が作った偽造当せん券では当せん金を受け取る可能性がゼロともいえそうです。
法律上も結果発生の危険性がない行為は犯罪ではないので、犯罪の実行に着手したわけではないから不可罰であるという不能犯という考え方があります。
ただ、パソコン等で外見上一見して本物と見間違うような偽造当せん券を作り、これを金融機関に提出してしまえば、絶対に換金される危険性はないと言えるものでなければ詐欺罪でも処罰されてしまいますね。
精巧な偽造当せん券でも絶対に金融機関では100パーセント偽物と判別されたとしても、くじを扱う金融機関以外の人たちが約4億5千万円の価値のある紙切れだと誤認する可能性があれば、偽造罪が成立することは問題ないでしょう。

検察官は犯罪が成立すると判断できるときでも、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により起訴しないことができるとされています(刑事訴訟法248条)。
不起訴には起訴猶予のほかに嫌疑がないというものなどがあり、起訴猶予は犯罪の成立が認められるときでも処罰されない場合ですし、嫌疑なしや嫌疑不十分は、犯罪の成立自体の証拠が乏しく白または灰色のときの不起訴処分です。

                                                                                                                • +

PCサイト刑事弁護 専門 私選弁護士 アトム東京法律事務所
携帯サイト刑事弁護 専門 私選弁護士 アトム東京法律事務所
東京都千代田区永田町2-17-4 3階 お問い合わせ(0120)631-276

                                                                                                                • +