介護疲れで母親殺害、51歳男を逮捕…神戸

2010年1月19日00時40分 読売新聞
介護に疲れ、重度障害の母親を絞殺したとして、兵庫県警神戸水上署は18日、住所不定、無職浦広一容疑者(51)を殺人容疑で逮捕した。

浦容疑者は、神戸市中央区波止場町のメリケンパークにある公衆便所で殺害後、県警に「母親を殺した」と電話し、出頭した。

発表によると、浦容疑者は同日正午頃、身体障害者用のトイレ内で、母の清子さん(85)の首を絞めて殺害した疑い。
浦容疑者は約40分後、公衆電話から県警に「自分も死のうと思ったが死ねなかった。これからどこかで死ぬ」と連絡。同署が遺体を見つけた際、清子さんは車いすに座った状態で頭からショールをかぶせられ、ひざの上にマフラーがあった。
清子さんは半身不随だったといい、浦容疑者は「介護に疲れた。殺害後に死のうと思ったが、死にきれなかった」と供述している。
2人は昨年11月まで同県尼崎市内で同居し、神戸市内の親族宅に移ったが、今月15日から同市内のホテルに2人で宿泊していた。浦容疑者は最近まで派遣で廃品回収の仕事をしていた。出頭時の所持金は約1900円だった。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100119-OYT1T00072.htm


人を殺した者は、死刑又は無期懲役若しくは5年以上の懲役に処せられる。

昔の刑法では尊属に対する殺人は、死刑又は無期懲役のみでした。
しかし、それは平等原則に反する違憲無効だとの判決があり、刑法の規定からも削除されました。
実際に殺人事件に占める親族間の割合が非常に高く、最近は介護疲れによる殺人もよく耳にします。
こういったケースでは検察官は、懲役5年を求刑し、裁判所は、懲役3年、執行猶予5年という判決が多いようです。
特に警察に電話をした上、出頭しているので、自首が成立し、犯行後の情状はよいと言えます。

今回のケースでは、容疑者と被害者は行動を共にしており、今月15日に親類宅から出て、ホテル住まいになっているようです。
被害者の母親は、当然、定住先がなくなり、容疑者である息子の稼働状況も把握できたはずです。
定住先がなくなり、息子の稼働先がなくなり、所持金も残りわずかとなった時点で、将来の見通しもつかず、それまで介護をしていた息子が「死にたい、一緒に死のう。」と言ったら、母親は、承諾したかも知れません。
被害者が承諾した上で、殺害行為をしたときは、殺人罪ではなく、承諾殺人罪として6カ月以上7年以下の懲役に処せられることになります。
息子である容疑者は、重大なことをしたことを悔いており、その経緯は弁解がましいとして詳しく説明せずにいるかも知れません。
そうしたことを的確にアドバイスをできるのは弁護士だけです。

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