大阪地検特捜部 エリート検事暴走 同僚「取り調べ強引」…前田容疑者逮捕

厚生労働省村木厚子元局長に対する冤罪事件ですが、現役の大阪地検特捜検事が逮捕され、同地検上層部にまで調査の手が伸びるなど、思わぬ展開を見せています。

検事が否認している被疑者に対して強引な取調べを行うというのは、刑事弁護に関わっていると比較的よく出会います。
留置中のクライアントから、
「検事から『否認しても絶対に起訴する』と脅されている。」
「検事から『このままじゃ罰金ではなく裁判になる。保釈も認められない』と言われた。どうしたらいいか分からない。」
などと相談されることも多く、取調べの現場には綺麗ごとで済まされない現状があります。

今回の前田検事逮捕の件に関しては、最高検が主体となって捜査に取り組んでいるということですが、組織保全のためのトカゲのしっぽ切り的対処にならないよう、適正な調査及び処分と期待したいです。


【引用】
現職の特捜検事が逮捕されるという前代未聞の事態に発展した厚生労働省の偽証明書発行事件。
大阪地検特捜部検事の前田恒彦容疑者(43)は、主任検事として事件の捜査指揮を担いながら、自ら証拠をゆがめたという。
<エースの暴走>を、組織は止めることができなかったのか。

2008年4月に大阪地検特捜部に配属された前田容疑者は、否認の容疑者から供述を引き出す〈割り屋〉として高い評価を得ていた。
民主党小沢一郎元代表資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件では東京地検特捜部に応援派遣され、逮捕した公設秘書(当時)の取り調べも担当。
「大阪特捜」のエースとして上司の信頼も厚く、ある幹部は「事件全体の構図が描け、取り調べのセンスもあった」と振り返る。

かっぷくがよく、穏やかな物腰。
酒好きで、自分の執務室では同僚らとビールを酌み交わすなど気さくな人柄で親しまれたが、一方で「調べが強引」との評判もあった。
別の幹部は「容疑者とじっくり話して供述を引き出すより、強引に頭を押さえつけて供述を得るタイプ。
公判で被告に供述を翻されるリスクが常にあった」と明かす。

07年に摘発された在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連)中央本部を巡る詐欺事件では、元公安調査庁長官・緒方重威被告(76)(控訴)とともに詐欺罪に問われた満井忠男被告(76)(同)の取り調べを担当。
公判では前田容疑者が作成した調書の任意性が争われ、09年7月の東京地裁判決は「(満井被告には)前田検事から、否認すると保釈されないなど不利であるという働きかけがあったことがうかがえる」などと指摘された。

偽証明書発行事件でも、大阪地裁が証拠採用しなかった厚生労働省元係長・上村勉被告(41)の調書について、地検内部で「主任の意向が加わっているのではないか」と取りざたされた。

今年1月に始まった公判では、証人出廷した厚労省の元上司や部下らが相次いで、村木厚子元局長(54)の関与を認めた捜査段階の供述を否定。
多くの検事が今春の異動で特捜部を去るなか、責任を取る形で特捜部に残留し、公判に立ち会ってきた。

3月には自らが事情聴取した民主党国会議員を法廷で尋問。
割り屋との周囲の評価とは裏腹に、「陳情には先生が直接対応されるんですか」などと終始、低姿勢で尋ねる意外な一面も見せていた。

東京地検特捜部に次いで1957年4月に設置された大阪特捜は、これまで参院議員を在宅起訴した「砂利船汚職」(88年)などの贈収賄事件、「イトマン事件」(91年)などの大型経済事件を手がけてきた。
しかし、大阪は東京に比べて政治家や官公庁の数が少ないことから、事件数や注目度でも東京にかなわないことがほとんど。
それだけに、中央省庁の現職局長逮捕までこぎ着けた今回の事件で検事らが感じた高揚感はかつてないもので、特捜検事の1人は当時、「一番の原動力は東京特捜への対抗心。その成果だ」と自画自賛していた。

(引用元:平成22年9月22日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20100922-OYO1T00191.htm?from=main1

【写真】
大阪地方検察庁、アトム事務員撮影

                                                                                                              • +

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