交通事故で有罪判決を受けた場合の対処法 Q&A

いつもありがとうございます。代表の岡野です。
今日は、知人の紹介で相談を受けた住居侵入の被害者の方が、事件解決の報告のためご来所されました。

犯人が逮捕勾留された刑事事件では、被害者の方も早急な対応を強いられるため、示談締結等の判断に先だって、必要十分な法律知識を身につける必要があります。
今回の相談では、普段とは逆の立場で、他の弁護人の活動を見ることができ、興味深かったです。


それでは、次回に続き、交通事故に関してよく受ける質問を整理したので、ご参考下さい。


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質問:交通事故で有罪判決を受けた場合、前科になりますか?
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前科になります。

前科とは、過去に刑罰を受けたことのある経歴をいいます。
刑罰を受ける原因となった犯罪の種類は問いません。
したがって、交通事故で有罪判決を受けた場合であっても、前科が付くことになります。

また、懲役刑や禁錮刑の場合だけでなく、罰金刑を受けた場合も「過去に刑罰を受けたことのある経歴」としての前科が付きます。
したがって、刑事裁判で懲役刑や禁錮刑を言い渡された場合に限らず、検察庁に呼ばれて罰金を支払っただけの場合も、前科が付くことになります。


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質問:交通事故で有罪判決を受けた場合のデメリットについて教えてください。
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まず、有罪判決を受けた場合は、先に説明したとおり、前科が付くことになります。

また、執行猶予が付かない懲役刑や禁錮刑の判決を受けた場合は、当然、判決で言い渡された期間の間、刑務所に入り生活する負担を強いられます。
執行猶予が付かない罰金刑が言い渡された場合は、その額を国家に納付しなければなりません。

他方、懲役刑や禁錮刑の判決に執行猶予が付いた場合は、執行猶予の期間が経過すれば、刑は消滅します。
ただし、執行猶予の期間内に再度、刑事裁判で実刑判決を言い渡された場合は、最初の判決の執行猶予が取り消され、最初の刑の期間と後の刑の期間を合わせた期間、刑務所に服役することになります。
(具体的には、最初の刑で懲役2年、後の刑で懲役1年6月の場合、合計3年6月の刑務所生活を強いられることになります。)
したがって、執行猶予の期間中は、極めて注意深く、日常生活を送らなければなりません。

さらに、有罪判決を受けたということは前科が付くということを意味するので、再び同様の交通事故を起こした場合は、初犯者として扱われません。
過去に同様の犯罪を犯したことのある前科者として、初犯者の場合と比べて不利に事態が進展します。

加えて、懲役刑や禁錮刑の判決を言い渡されると、職業上の資格の欠格事由となり、職を失う可能性があります。
特に、国家資格の場合は、「禁錮刑以上の刑に処せられた者」については資格を与えないとされている場合が多く、資格で生計を立てている人は、この点に注意して刑事手続の方針を立てる必要があります。

もっとも、法律相談などで「有罪判決を受けると戸籍や住民票に載るんでるよね?」というような質問をよく受けるのですが、そのようなことはありません。
基本的に、前科に関する情報は、資格の要件などに関連しない限り、捜査機関のみが知りうる情報ですので、外に漏れることはありません。


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質問:有罪判決を受けましたが内容に納得がいきません。どうしたらいいですか?
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有罪判決に納得がいかない場合は、上級の裁判所に不服を申し立てることができます。

上級の裁判所に不服を申し立てることを上訴(じょうそ)といいます。
上訴にはいくつかの種類があり、一般的に、地方裁判所での裁判に納得がいかず高等裁判所に不服を申し立てる場合を控訴(こうそ)といい、高等裁判所での裁判に納得がいかず最高裁判所に不服を申し立てる場合を上告(じょうこく)といいます。

第一審の地方裁判所で有罪判決を受けた場合、判決を受けた日の翌日から数えて14日以内であれば、高等裁判所に宛てて控訴を申し立てることができます。
高等裁判所での裁判は、第一審の地方裁判所で提出された資料がそのまま引き継がれることになるため、審理を一からやり直すという意味では限界がありますが、裁判官3名の会議で判決が決定されるため、より公平さが保たれた結論が下されることになります。

控訴を申し立てることができる「14日間」という期間は絶対的なものなので、有罪判決に納得がいかずに控訴するかどうか迷っている場合は、まず14日以内に控訴を申し立ててしまいましょう。
将来的に控訴の必要がなくなった場合は、控訴を取り下げてしまえば大丈夫です。

控訴の結果、判決の内容が変わることは、統計的には極めて少ないですが、示談がまとまり被害者の許しを得ることができるなどの事情の変更がある場合は、判決の内容も大きく変わる可能性があるので、まずは最寄りの法律事務所で法律相談を受けてみましょう。

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