交通事故で逮捕勾留された場合の対処法 Q&A

いつもありがとうございます。代表の岡野です。
5月は事件が多く、普段に増して多くの相談を受けています。

よく受ける質問を整理したので、ご参考下さい。


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質問:家族が交通事故を起こして逮捕されました。逮捕はいつまで続きますか?
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逮捕とは、事故を起こした容疑者の身体を拘束して、数日間の留置場生活を強いることをいいます。
一度逮捕されてしまうと、通常は、警察署の留置場で二晩ほど寝泊まりをしなければならず、その間、会社や学校には行けません。

また、逮捕された容疑者は、逮捕の翌日か翌々日に、最寄りの検察庁と裁判所に連行され、引き続き留置を継続する必要があるか否かの審査を受けます。

検察官としては、容疑者が留置場にいた方が取調べや捜査が容易なため、通常は10日間の留置の継続を請求します。
この逮捕に続く長期の留置場生活を勾留といい、勾留は最短で10日間、刑事裁判になった場合は数か月間に及ぶ場合があります。

なお、勾留の決定は、最初は10日間で決定されますが、この10日間の期間の算定は、検察官が勾留を請求した日(=逮捕後、最初に検察庁に連行された日)から、この日を含めて計算することになります。

整理すると、逮捕から釈放される時期は、
・逮捕から約1日後、検察官が勾留を請求せずに釈放される
・逮捕から約2日後、裁判官が勾留を決定せずに釈放される
・逮捕から約10日後、不起訴になった又は罰金を支払い釈放される
・逮捕から約20日後、不起訴になった又は罰金を支払い釈放される
・逮捕から約23日後、起訴されたが保釈が認められ釈放される
のいずれかの場合が多く、この各ポイントで十分な対応を尽くし、留置場生活からの脱却を図る必要があります。


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質問:留置場の中ではどのような生活を送りますか?
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法律相談をしていると、ご家族の方から、「留置場ではどのような毎日を送るのですか?」という質問をよく受けます。
実際に警視庁警察の留置場で生活しているクライアントからヒアリングしたところ、留置場での生活は次のようなものでした。

6:30 起床
「起床」と言われて部屋の電気が付く。起床後直ちに自分たちで布団をたたみ、部屋を出たところにある布団置き場に布団をなおす。布団を置いた後、洗面。洗面後は部屋に戻り、朝食が届くのを待つ。

7:00 朝食
部屋の小窓に朝食が運ばれる。

7:30 運動
四方を壁に囲まれた小さな広場で自由に運動できる。喫煙者はこの時だけタバコを吸える(2本まで)。運動は一部屋ずつ行われる。

12:00 昼食
取調べがなければ、部屋の中で昼食まで時間を潰す。本を読むしかすることがない。朝食後は運動の時間があるが、昼食後は運動の時間がない。

17:00 夕食
取調べがなければ、部屋の中で夕食まで時間を潰す。本だけは読む時間がたっぷりある。

21:00 就寝


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質問:留置場で本人と面会をしたいです。面会の仕方や差入れの方法を教えてください。
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逮捕から約2日後に裁判所から10日間の勾留を決定されて以降は、面会禁止の処分が付いていない限り、誰でも留置場に面会に行くことができます。

ただ、家族や友人が行う一般面会は、「平日の午前9時30分から午後4時30分までの間、留置施設職員の立会いの下、1日1組3人まで15分間」というような条件が付されています。
したがって、面会に行く場合は、その前に必ず、警察署の留置係(「りゅうちがかり」と読みます)という部署に電話をつないでもらい、面会ができるかどうか、その場合の条件などを聞くようにしましょう。

また、差入れできる物品についても、東京の警視庁警察署と地方県警の警察署では、取り扱いが多少異なる場合があります。
この点についても、事前に警察署の留置係に電話をかけ、確認するようにしましょう。

なお、
1. 面会禁止の処分が付いている場合の面会
2. 夜間早朝の面会
3. 土日祝日の面会
4. 15分間を超える長時間の面会
5. 留置施設職員の立会いを排除した面会
は、弁護士でなければできません(言い換えれば、弁護士であれば上記1から5のいずれの方法での面会も行うことが可能です。)。

必要に応じて、家族や友人が行う面会と、弁護士が行う面会を使い分けるようにしましょう。


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質問:弁護士を付ければ、逮捕から釈放されますか?
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警察官に逮捕されたとしても、その後の勾留が認められなければ、直ちに留置場から釈放されます。
弁護士が付いた場合は、勾留の決定が出ないように、担当の検察官や担当の裁判官と面談し、意見書を提出して、留置場からの釈放を求める活動を行います。

ATOMの弁護活動により、逮捕から釈放されたケースをご紹介します。

(ケース1)
事件により逮捕された当日、ご家族が法律相談にご来所され、弁護契約を締結し、直ちに弁護活動に着手したケース。
緊急の事件ということで、二名の弁護士が役割を分担して対応し、翌日、逮捕されたクライアントが検察庁に連行された直後、担当の検察官に対し、留置場からの釈放を求める意見書を提出した。
その結果、担当の検察官は裁判所に対し勾留を請求せず、クライアントはその日のうちに留置場から釈放され、留置場での生活は1泊2日にとどまった。

(ケース2)
事件により逮捕された当日、ご家族が法律相談にご来所され、弁護契約を締結し、直ちに弁護活動に着手したケース。
担当の検察官は、裁判所に対し勾留を請求したが、弁護士が担当の裁判官と面談の上、留置場からの釈放を求める意見書を提出したことで、10日間の勾留決定が見送られた。
その結果、クライアントはその日のうちに留置場から釈放され、留置場での生活は2泊3日にとどまった。


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質問:弁護士を付ければ、勾留から釈放されますか?
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逮捕後、裁判所に連行され、10日間の勾留が決定されたとしても、その後の適切な弁護活動により留置場から釈放されるケースがあります。

留置場から早期に釈放されるためには、まずは一度出た勾留の決定をくつがえす方法があります。
勾留の決定は一人の裁判官が判断するため、弁護士が勾留の決定に不服を申し立て、再度三人の裁判官で勾留の必要性を判断してもらい、一度出た勾留の決定をくつがえします。

また、勾留の決定がくつがえらなかった場合でも、その後、検察官の最終判断で不起訴や略式罰金の手続きがとられれば、刑事裁判になる場合と比べて早い段階で留置場から釈放されます。

ATOMの弁護活動により、勾留から釈放されたケースをご紹介します。

(ケース1)
裁判所が10日間の勾留の決定を出した当日、ご家族が法律相談にご来所され、弁護契約を締結し、直ちに弁護活動に着手したケース。
緊急の事件ということで、二名の弁護士が役割を分担して対応し、翌朝、勾留の決定を出した裁判所に不服を申し立て、再審理を求めた。
担当の裁判官三名は、弁護士が作成した申立書を読み、合議の結果、「勾留の必要なし」との判断を下した。
クライアントはその日のうちに留置場から釈放され、留置場での生活は3泊4日にとどまった。

(ケース2)
死亡事故を起こし逮捕されたケース。
年末の交通事故で捜査員が不足していたということもあり、10日間の勾留は決定されてしまったが、その後、担当の検事に対し勾留を延長する必要がない旨を申入れ、交渉の結果、10日間の勾留のみで留置場から釈放された。

(ケース3)
死亡事故を起こした容疑で逮捕されたケース。
実際は、被害者の自損事故であったが、クライアントは自動車を被害者に近づけて狼狽転倒させた容疑で合計20日間の勾留が決定された。
もっとも、最終的には、弁護側の主張がとおり、クライアントに対する刑事処分は見送られ、不起訴処分の方向で留置場から釈放された。

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