詐欺罪3 詐欺と損害   アトム東京弁護士

● 詐欺による損害

条文上は、詐欺によって被害者に損害が生じたこと、は要件になっていません。
そこで、詐欺罪の成立に、財産上の損害という要件が必要か、という問題があります。

詐欺罪が財産犯である以上、何らかの財産上の損害の発生を必要としていますが、
実際には、財物や財産上の利益の交付自体が損害であるとしているため、
厳密にいえば財産的損害がなくても詐欺罪が成立することはあります。

なぜこのようなことが問題になるかというと、
詐欺行為によって、価格相当の商品を売るような場合があるからです。

もともと1000円程度のものを、とても高価な品であるが、特別に1000円で売る、
などという嘘を言って売りつけるようなケースです。

1000円のものを1000円で買っているのだから、何も損害はないように思われます。
しかし、たとえ価格相当の商品を提供したとしても、事実を告知するときは、
相手方が金員を交付しないような場合には詐欺罪が成立すると判例ではいわれています。

被害者が欲しかったものは、1000円という購入価格以上の価値ある物であり、定価1000円の物ではなかったのですから、
この点で加害者は被害者に詐欺行為を行ったといえますね。


<つづく>

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