所持品検査 2

● 所持品検査2

前回の続きになりますが、承諾のない(任意ではない)所持品検査は具体的にどのよ
うな場合に認められるのでしょうか。

この件についても、最判昭和53年6月20日判例で述べられているのです。

「所持品検査の許容限度を一般的に定めることは困難であるが、所持品について捜
索・押収を受けることのない権利は憲法35条の保障するところであり、
捜索に至らない程度の行為であってもこれを受ける者の権利を害するものであるか
ら、状況のいかんを問わず常に許容されるものと解すべきではなく
、限定的な場合において、所持品検査の必要性・緊急性、これによって害される個人
法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、
具体的状況の下で相当と認められる限度においてのみ許容される」

この場合にも、結局は具体的状況のもとで、所持品検査の必要性・緊急性・相当性が
判断される、ということです。
つまりはケースバイケースなんですね。

ちなみにこの判例の事案は、「米子銀行強盗事件」といって、猟銃とナイフを所持し
て600万円を銀行から強奪した事件でした。
非常に凶悪な事件だったので、こういうケースでは必要性・緊急性は十分に認められ
るといえます。

そして、肝心の相当性ですが、犯人の持っていたボーリングバッグの施錠されていな
いチャックを開けて中を一べつした、という比較的軽度のものでしたから、相当性も
ある、といえます。

しかし、もしも事案が非常に軽微なものでしたら、このようなバッグを開けて中を見
る、という行為も相当性を欠いて違法行為となりうります。

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