羽賀被告が上告|未公開株売買を巡って詐欺と恐喝未遂の罪に問われ大阪高裁で懲役6年の逆転敗訴。

【ニュース】
未公開株売買を巡って詐欺と恐喝未遂の罪に問われたタレントの羽賀研二被告(49)の弁護側は20日、懲役6年とした大阪高裁判決を不服として、最高裁に上告した。
高裁は17日、羽賀被告を無罪とした一審・大阪地裁の判決を破棄し、懲役6年の逆転有罪判決を言い渡した。
産経新聞6月20日(月)18時25分配信)

タレントの羽賀健二被告が、一審で無罪となった詐欺・恐喝未遂事件の控訴審で、逆転有罪判決を受け、最高裁判所へ上告することになりました。
今回の事件の裁判は、これからどう進んでいくのでしょう?
「上告」とは何か、共犯事件はどう扱われるのか、本日は、羽賀被告に関する素朴な疑にお答えします。

■ Q1. 羽賀研二被告は一審で無罪になったのに、今回有罪になったのはなぜですか?
詐欺罪が成立するには、相手を騙してお金を取ることが必要です。騙す行為をしたものの、相手が嘘を見破っていれば詐欺罪は成立しません。
一審では証人の「被害者は嘘を知っていた。」という証言が証拠として採用されたため、被害者は騙されていなかったとされ、羽賀被告は無罪とされました。
しかし、この証人は一審判決後、偽証罪で有罪になりました。そのため、今回の控訴審では、証人の証言を嘘だとして証拠として認めず、一方で被害者の証言が証拠として採用されたので、羽賀被告が有罪だとされたのです。

■ Q2. そもそも羽賀研二被告が有罪になった詐欺罪や恐喝未遂罪ってどんな罪ですか?
詐欺罪とは人を騙すことによって、恐喝罪は人を恐喝することによってお金等の財物を交付させる罪で、どちらも刑罰は10年以下の懲役と定められています。
窃盗罪や強盗罪は、人の意思に反して財物を得るのに対し、詐欺罪や恐喝罪は、お金を渡そうとする意思があるものの、その意思に瑕疵(きず)がある場合に成立する点に特徴があります。

■ Q3. 羽賀研二被告のように共犯者がいる場合は、共犯者も一緒に取調べを受けて、同じ刑罰を受けるのですか?
複数の共犯者がいる場合は、取り調べ室こそは別ですが、手続き的には同時並行的に取調べを行うのが一般的です。
警察など捜査機関としては、事件関係者から一斉に事情を聴取して捜査をする方が、事案の解明をして裁判に備えるのに効果的だからです。
刑法では、共犯者は犯罪の一部分しか担当していない場合でも、犯罪全体の責任を負うと定められていますが、裁判では共犯者の役割分担や立場によって刑罰の重さが異なってきます。

■ Q4. 羽賀研二被告のように、複数の犯罪を一緒に行うと、刑は重くなるんですか?
刑は重くなります。犯罪を犯すと、国に刑罰権が発生します。この刑罰権は、犯罪1個につき1個発生し、複数の犯罪を犯せば刑罰権も複数発生するのが原則です。
羽賀被告の場合、詐欺罪と恐喝未遂罪の2つの犯罪が成立し、2つのうち最も重い罪について定めた刑の最長期間にその2分の1を加えたものが最長期間となるので、重い詐欺罪の懲役10年に2分の1を加えた懲役15年以下の範囲で刑罰を受けることになります。
(ちなみに、今回の控訴審では、懲役8年の求刑に対し、懲役6年の実刑判決が下りました。)

■ Q5. 羽賀被告は上告したそうですが、上告ってなんですか?裁判の仕組みを教えてください。
上告とは、高等裁判所の判決に対してする最高裁判所への上訴をいいます。
上告申立てのできる理由は、?憲法違反や憲法の解釈に誤りがあること、?今までの最高裁判所の判断に反する判断をしたこと、?昔の最高裁判所である大審院などの裁判と反する判断をしたことに限られ、単なる事実判断の誤りや刑罰が不当だとする上告は原則として認められないことになっています。
日本の裁判は、三審制が採用されていますので、一審判決に不服があれば控訴でき、控訴判決に不服があれば上告できますが、上告審はほとんど書面の審理で終わり、実質的な審理は行われません。

                                                                                                • +

アトム法律事務所 東京 大阪
(0120)631-276 対応24h まずはお電話を
(ホームページ案内)
東京 →PCサイト →携帯サイト
大阪 →PCサイト →携帯サイト