保釈の取消し  アトム東京法律事務所

昨日の朝日新聞の夕刊でめずらしい記事が載っていたので、
今日はその記事を紹介しようと思います。

「法廷内で「保釈取り消す」 身柄拘束、被告ぼうぜん」
住宅リフォーム会社旧ペイントハウスの架空増資事件で、
東京地検特捜部に証券取引法違反(現・金融商品取引法)の罪で起訴された
投資コンサルタント会社社長・阪中彰夫被告(58)が、
東京地裁で17日にあった公判のさなかに保釈取り消しを宣告され、
その場で身柄を拘束される一幕があった。
被告が納めていた保釈保証金1億円は没収される可能性がある。
17日の公判では、弁護側が最終弁論で無罪を主張して結審し、
藤井敏明裁判長が判決期日を来年2月18日に指定した。
この直後、藤井裁判長は法廷から立ち去ろうとした阪中被告を呼び止め、
「保釈の条件で決められた住所に住んでおらず、逃走の恐れがある。
17日付で保釈を取り消す」と述べた。
阪中被告はぼうぜんとしたまま、身柄を拘束された。
16日に検察側が保釈取り消しを請求していた。
阪中被告は経営難に陥っていたペイント社に架空増資して経営が改善したかのように
装ったとして
同法違反(偽計)容疑で6月に逮捕された。
その後保釈され、この日の公判に臨んでいた。
(以上、朝日新聞より)


保釈の取消しがこういった形でニュースになるのは非常にまれです。

保釈とは、保釈保証金を支払い、保釈条件を守るという約束のもとに、
勾留されている被告人の身柄の拘束を一時的に解かれる制度です。
一度、捜査機関によって逮捕・勾留されたとしても、
起訴された後は裁判所に対して保釈を請求することが可能です(刑事訴訟法88条)。

しかし、裁判所は、一度保釈を許した後でも、その後の事情で保釈を取消すことがで
きます。

刑訴法96条第1項
裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定
を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
1 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
2 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
3 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると
き。
4 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しく
は財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたと
き。
5 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき

記事の事件では、裁判官が「保釈の条件で決められた住所に住んでおらず、
逃走の恐れがある。17日付で保釈を取り消す」といったということですから、
このうち2号と5号に該当すると判断したものと思われます。

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